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あんまり放置しても気にならない短編で書いている、あれです。
若干文章が古くて私的に羞恥プレイですよ。
他の終わらせろ………

※BL、同人注意
※以上を理解出来ない、知らない、嫌いな人はバックプリーズ。
※閲覧後の苦情は受けません。


大丈夫な人は続きどうぞ。


ゼロゼル+ガウリナなんですけど、ガウゼルやゼロガウ臭くなったりするかも。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
窓辺の明きに光求めた先に

~~(ゼロゼル・吸血鬼シリーズ2)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



古びたその幹から伸びる枝は、所在なく手を広げているようだ。
その葉が、全て落ちてしまっていた。
木々が紅葉に色付くよりも、枯れはてるよりも前に。
風が吹く。
乾いた声で鳴きながら、枯れ葉が地面を引っ掻いた。
ここに来てから数年が経過していた。
ここ、とは、風変わりな人間の屋敷だ。
いや、人間と言っていいのか分からない、得体の知れない男だ。
神父として人間に関わっている癖に、奴は年をとっていない気がする。
そして教会から少し離れている、この屋敷は―――……
寒空と言わないまでも、乾いた空気が白塵の空を作り出し、日の光は弱々しく感じられる。

(………この中なら、平気なのにな)

ギイ、と音を立てて錆付いた窓を開ける。
立て付けが悪いのか古いせいなのか、窓枠ごと外れて地表に派手な音を立てて落ちていった。
地面を滑っていく硝子の欠片。
身を乗り出してそれを見るように、そっと窓枠の"外側"へ指先を伸ばす。

「な、にやってるんだ、オイ!!!」

鼓膜にそれが届くか届かないかのうちに、思い切り"内側"へ引き戻された。
大きく見開かれた青灰色の瞳に、空色の瞳が映し出される。
金の髪が風に揺れて、光を反射していた。

「ったく、結界の外に手を出したらどうなるか、お前さん知ってるだろ」

「……早いな、ガウリイ」

「まあな、こう見えても瞬発力には自信があるんだ」

そうして、ガウリイは目の前の青銀の髪の少年に逞しい腕を見せ付ける。
少年の青灰色が瞬く。

「違う、そうじゃなくて。………まだ昼間だろ」

「それを云うなら、ゼルだってな」

「…………」

俯いて沈黙したゼルガディスに、ガウリイは悪気が無いのか追い討ちをかける。

「まだ、起きる時間じゃないだろ?」

起きる、というよりは活動する時間である。
ガウリイは知っていた。
種族は違うが、ゼルガディスとガウリイは、属性として近い所にある。
闇に属すものは光を嫌う。
とはいえ、鈍いながらも多少は光の中で動ける自分達なら未だしも、ゼルガディスにとって「光」は致命的な弱点でもある。
だから尚の事、彼の行動が不思議でならず、ガウリイはさらに詰問しようとした。
だが。

「煩いですよ、静かにしてください」

「……ゼロス」

話を遮った人間に、夕闇間近の空色に似た目が鋭くなる。
飄々とした涼しげな目元と、緩やかな孤を描く唇に、闇色の切り揃えられた髪。
その持ち主は、いかにも寝起きといった緩慢な足取りで二人に歩み寄った。

「どうしたんですか、ゼルガディスさん?血でも足りませんか?」

「別に」

ぶっきらぼうに答えれば、ゼロスが小さく息を吐いた。
それがゼルガディスの勘に障り、ピリリとした空気にガウリイが頬を掻く。
見慣れた光景ではある。
あるのだが。

「だったら、こういうオイタは止めていただけますか?僕の力だって万能じゃないんですよ」

そう、ゼロス右手をかざすと、地面から硝子の破片がゆっくりと浮き上がり、ジグソーが貼り合わされるように、只の破片から元の形状へと変化する。
そして白い木枠にかちりと合わさり、窓の外は以前の静けさを取り戻したように見えた。
ゼルガディスが僅かに身を引いたのは、常人ならば知覚出来ない程度だったろう。
矢張り得体が知れぬ。
本当に、人間なんだろうか。
結界といい、その力といい――……

「で、本当にお腹は空いてないんですか?」

問われた言葉にはっとする。
気付けばゼロスが肩に触れていた。
華奢な手首で。
巨躯の怪物を一瞬で屠るとは思えないその手は、自分に触れるとその見た目に反している。
それを振り払えないのだから。

「いらん世話だ、と言っただろう」

「昨夜も一昨日もそう仰られてました。幾ら貴男が少食でも、食べないでは生きられませんよ」

「ハッ……どうだかな。人間じゃあるまいし」

自嘲気味に鼻で笑い、身体を捻る。
背を向けて、彼の手を無理矢理引き剥がせないかと試行したのだが、ゼルガディスのその動きを、ゼロスは難なく制した。

「そうですね。貴方と違って、僕はお腹がすきました。何せ今日は昼間も働きましたからねえ……丁度良い。一緒に食べましょう」

有無を言わさぬゼロスに、ガウリイが少し。
ほんの少し、気の毒そうな顔を見せたのは、気のせいではなかった。




「あの大量のじゃがいも、何とかしなくちゃなぁ」

「何とかしなくても、うちには大食漢がいますから、少ない位ですよ」

食卓には、銀の食器に、赤と緑の色鮮やかなサラダや、ふかした芋。
固いパンをスープに浸したガウリイが、肉が喰いたいと小さく呟く。
ティセル村は白の領主が治めている、割りと豊かな土地ではあるものの、矢張り地方行政は厳しいものがあった。
この国は黒、白、青、赤、紫の冠を戴く五人の領主に治められており、各々の中央都市同士が連携しているのだが、それは画一的ではない。
教会は国から保護を受けているものの、都市部の近郊にしか、領主から教会へ税収の何分の一かは支払われてないらしい。
故に地方の教会はしばしば財政難にあう。
この屋敷に運び込まれた野菜の大半は、村の人々が教会に寄進として置いていくものだ。
教会はティセル村の北端に位置し、村外れのこの屋敷に運ぶのはさぞや骨折りではないかと思うのだが、たまに人々の陽気な歌声が聞こえると、そうでもないようだ。
田舎らしく物々交換が主流で、金銭の流通も疎(まば)らで、土地だとか金品だとかの寄進はない。
然し、ゼロスの能力のせいか、銀の食器といい、地方にしては珍しく枯渇してないと云えるだろう。
ゼロスの服装は富裕層のそれ迄はいかないが生地も良いし、教会自体もゴシック建築の美しい造りで、言い方は悪いが、繁盛しているのが明らかだ。
廃墟と化した教会は、それは無残で。
ふ、と。
どこで見たのだろう、と思案する。
自分は、教会と無縁な存在で………
ゼロスが教会でなくこの屋敷を根城にしてるのは、半ば自分のせいでもあり。

「どうかしましたか?ゼルガディスさん」

「いや……別に」

「なんだ、全然食べてないじゃないか。」

「貴方が食べ過ぎなんですよ。大食漢の悪魔なんて前代未聞です。……第一ゼルガディスさんは'主食'が別ですから」

「……違」

「大丈夫ですよ。いつものようにワインセラーに取り置きがありますから、ね」

にこりと微笑むゼロスは、誰よりも悪魔らしかった。
否。

「またか?今度はどこの奴だ?」

「隣街で、悪魔に憑かれた女ですよ。悪魔払いよりも退治を依頼されたのでね」

「そりゃまたどうして」

「両親たっての希望、です。ま、どちらかといえば義母ですか。どうも複雑な内情を抱える家庭らしくて」

どちらも悪魔だ。
眉一つ動かさず、淡々と不幸を語る。
それがまるで退屈しのぎに主婦が交わす井戸端会議の内容であるかのように。
何処までも気の毒な女だ。
慙愧の欠片すらない男には、同情の余地等無いのだろう。
それに、恐らく悪魔憑きは切っ掛けで、これ幸いに、継母に捨てられたのだ。
ゼルガディスはちりり、と胸の焦げ付く思いがした。




☆☆☆コメ☆☆☆

続いてますね・・・
やっちまったな。
というか、一応短編でも読めるように区切っているつもりですが。
あわ。

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