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酔った勢いでネタアップするんで。
もう、適当に流してよ。

ゼロゼルで暗いかもです。
ここ数年病んでるので勘弁。

それと、同人ホモ受け入れない人は続き読まないでね。


一応、ホワイトデーネタゼロゼル






いつものことだった。
昨夜同室だった男の姿が消えて、部屋は思いの他広々としていた。
どうということはない、日常の光景。
出ていく直前に奴の気配を感じた。
それだけのこと。
何も気づかないふりで宿でチェックアウトをすると、いつもどおりに店主が「御代はもういただいておりますので」と笑顔で見送られる。
だからどうだ。

街を後にして、神殿やら渡り歩きながらも次の街へ着く。
カップに注がれた飲料を嬉しそうに飲んでいた奴が消えて、一週間が過ぎていた。
蒲団が恋しいというわけでもないが、久々に汚れを落とせるし、体を休められるのが嫌いなわけじゃない。
偶然に。
何やら騒動が起きているのを、障らぬ神に祟られまいと忌避したつもりが。
騒動の真ん中にあるものに、見覚えなどないように逸らしたつもりが。
どうにもならんことが世には溢れているらしく、十二分に巻き込まれてしまったのも、いつものことで。
日常の延長線上には厄介事しかないのだと、腹を括っている。
が、出来れば穏便に暮らしていきたいと、安寧を求めるのも、然り。
ともかく、出会った途端、彼女らといつも通り行動を共にしていたあたり、病気なんじゃないかと思う。
それから幾日か一緒に居たのだが、いつものように事件に巻き込まれ、それを境にはぐれてしまった。
別に気にすることでもない。
合流を決めてもいなかったのだから、彼女らを取りたてて捜索しなくても良いと思った。
向こうもそのつもりだろう。
元に戻っただけだ。
差しさわりもない。

魔族の来襲は、その時だった。
それは日の沈む直前、宵闇に染まりゆく視界に現れて、よく回る舌で自分を詰(なじ)った。
負のエネルギーを引き出そうという作戦だったのだろうが、何とも粗雑なものだった。
奴の知り合いらしい、滅ぼす直前にそう零した魔族を見ていると、何故だか空虚に支配された。
大したことじゃない。
ただ。
永遠なんて無いんだな、そう当たり前の事が、去来するものがあっただけで。
それから何度か、下級魔族に急襲される事が増えた。
狙われているのだろうか。
だとしたら何故。
何が目的なのか。
奴はいないというのに、魔族たちは自分に何の用件があるのか。
ぽっかりと開いた穴が、じわじわ侵略を始めていく。
小さな空虚は何時しか恐怖に似た心地に変容する。

いつから聞いていないだろう。
いつから見てないだろう。
いつから。
そればかりが思考を埋めていくのだ。
苦しい。
怖い。
痛い?
分からない。何が恐ろしくて、何が不安を掻き立てるのか。

一度に襲ってくる下級魔族の数が増えた。
試されているような、力量を測られているような意図を感じた。
きっと彼は戻ってこないのだろう。
そんな気がしていた。

いつものことだった。
昨夜同室だった男の姿が消えて、部屋は思いの他広々としていた。
どうということはない、日常の光景。
出ていく直前に奴の気配を感じた。
奴はいつも、自分の額にかかる髪をゆるりと払って、唇を寄せる。
額から鼻先まで甘いそれを受けながらも狸寝入りを決め込んでいる自分を、困ったように笑って。
それから部屋から忽然と消えてしまうのだ。
『また暫く会えないんです、目を覚ましてくださいよ』
低く甘えた声で囁く声が、聞こえた気がした。

更に神殿やら渡り歩きながら、次の街へ着く。
1ヶ月後にはお返しを期待してくださいね、なんて嬉しそうにしていた奴が消えて、分からなくなっていた。
心が、時の流れを拒否しているようだった。
もしかしたら、永遠があるなんて思っていたのだろうか。
永遠がなくても、永続的な何かがあると期待していたのだ。
自分が消えても、その足跡が何がしか大きなうねりの中に埋もれていたとしても、何かが残ると思っていた。
その何かが無い事が恐ろしい。
この言いようもない恐怖を、奴が消える度に感じていると言えば、あいつは笑うだろうか。

もうひと月はとうに過ぎていた。
約束したわけじゃない。
言い聞かせて、何度目かの夜が訪れる。
久しぶりの寝床にありついた時には、心身共に疲れ果てていた。
不意に、カーテンのドレープが微かに揺れた気がして。
気のせいで片づけるには、経験を重ねすぎていて。
それが、奴の姿を確認した途端、一気に血が下がっていく心地がして。

叫びに似た声で彼を責め立ててやるのは簡単だったけれど。
邂逅が胸にこみ上げる想い以上に、痛みが心を締め付けるから。
泣きたいような心地になって奴をただ見ていたら、大丈夫ですよ、貴男は本当に心配性なんですから、といつもみせる胡散臭い笑いではない柔らかな微笑みを零したのが、卑怯だと思った。
本当に。
その時が、来てしまったのだと感じていたのに。
また続く永続的な時間に、流されるのは辛いのに。
いつか失う痛みに耐えなければいけないなら、その時が長引かされればされるほど喪失は多大なものになるのに。
どうしてこんなに、先延ばしの瞬間が嬉しくて仕方ないのか、どうにかして欲しいのに。
それすらも凌駕して、奴がのばした手をとってしまうのだから、これは、手に負えぬ病だ。

「本当に。随分ご心配をおかけしまして」
「本当にな」
「・・・?!・・・そう素直だと、何かあるのか勘ぐってしまいそうですね」
「・・・」
「すいません、僕が悪いんですね。あの方々を止められなかったのは、僕の責任です」
「もう、いい・・・」

傍に確かにある存在、それだけでいい。
ご託宣は要らない。
未来も、何も要らなかった。
この瞬間が、あるだけで・・・ーーー





☆☆☆コメ☆☆☆

何時もの短文。
いつから書いてないんですかね。
あ。
軽く半年ぶりですか。
ホワイトデーネタで、何年か前に書いたバレンタインネタとリンクしてます。
リハビリもいいとこ。
続編とか残してること、ちゃんとわかってます。





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