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移転後初の小説がリバース……
続編消化しろよ……
え、だってこれも半年前位に書いてたし……
放置したら二度と日の目見ないから。

※同人注意
※以上を理解出来ない、知らない、嫌いな人はバックプリーズ。
※閲覧後の苦情は受けません。


理解された方のみ、続きをご覧ください。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

◇明るすぎる世界~(TOR.アガーテ)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


私には、暗闇など無かった。


―――ミルハウスト。
―――何です?アガ―テ。
―――あれは何?
―――あれは…ですよ
―――そう。綺麗ね。ミルハウストは何でも知っているのね。
―――ああ、御髪が乱れていますよ。
―――ミルハウスト

彼が、大好きだった。

打算と奸計に塗れたカレギア城で、権力を希求し血涙を流し散りゆく汚れた者を、幾人目にしてきたか。
勿論忠臣は私を守護し心配してくれたけど、それ以上では無く、いつも距離を感じていたから。
彼らは遠巻きに私を見るだけ。
決して名を呼ばず、陛下と呼ぶ。
城の中では一人きり。
そんな中、孤独を埋めてくれたのが彼。

―――ミルハウスト…
―――何でしょう、陛下。
―――ミルハウスト?
―――陛下、どうぞ自室にお戻りください。陛下が臣下の部屋をみだりに訪れたりするものではありません。
―――…



ふと、足を止めた。
城内は静かで人通りが無い。
昼間ジルバに聞いた話がうまく飲み込めず、惑いながらも突拍子の無いとも思えるその話に希望を見出せそうな気がして。
けれども、保障も前例も無い事物に向かう好奇心よりは不安が勝って、やはり決断できずこうして夜分にジルバの部屋へ向かっていたのだが。
何故かジルバは不在で、こうして彷徨う羽目になっていた。

「お前、ハーフに告られたんだってな」

廊下を歩く歩哨兵が、通り過ぎる一人の兵士を呼び止めた。
ジルバを探していたアガーテは、さっと壁に隠れる。
ハーフ…
ハーフとは何?
アガーテは初めて耳にしたそれに、動けなくなっていた。
うんざりしたように兵士が溜め息を吐くのが、鼓膜にやけに響いた。

「厄介な奴の戦闘訓練を請け負っちまって災難だぜ。ハーフなんて気味が悪いだけだ」

「ガジュマとヒューマの子供なんて、想像できるか?はは…まあ、ヒューマでも気味悪い力を振り回す上司だっているし、カレギア城は珍品の宝庫だな」

ヒューマで気味が悪い力……サレの事だろうか。
それより、ガジュマとヒューマの子供と云ったのが気に掛かった。
なら、私とミルハウストにも希望はあるの?
今のままでも、いいの?
そこまで考えて、違うわ、たアガーテは頭(かぶり)を振った。

「全くだ」

「なあ…もし、だぜ。相手がガジュマならどうだ?」

胸が跳ねた。
分かっている。
ハーフが受け入れて貰えない…
喩えそういったガジュマとヒューマの関係があったとして。
ミルハウストと自分に反映されねば、無意味なのだ。
聞きたくない。
興味本意で聞き耳を立て想いを繋ごうとした彼女だが、その先を聞いても自分には一切良いこと等無いと気付いていた。
アガーテは耳を塞いだ。

「ガジュマ?ガジュマなんて醜悪どころか顔の見分けもつかないぜ」

「違いない。喩え女王陛下でもなぁ…まあ、女王様は“見える”顔だがな」

聞きたく、無いのに…―――
耳を塞いでも聞こえてくる。
自分の罪を、戒めるように。
浅ましい事は分かっている。
過ちも、何もかも分かっている。
アガーテは遠くなる足音に呆然と立ち尽くし、その拳は固く握られた。
その頃にはジルバへの返事が、決まっていた。

この世界は、明るすぎる。

希望は一人の村娘。
真直ぐで、きっと苦労知らずに育ったのだろう。
ヒトへの疑心や悪意に心が擦り切れることの無い、平和で暢気な環境で。
銀の食器が食卓に並ぶ意味すら知らないのだろう。
その器がくすむ理由を。
優美な装飾やフォルムに贅沢を感じる位で、その裏に何が潜んでいるか知らないのだ。
世界は自分の思うがままではない。
自分だけではどうにもならぬ事がある。
明るすぎる世界は傷付くだけだと知らず、だから暗闇を欲しない。
痛みを知れば知るほど、傷付くだけの道をがむしゃらには求められないのに。
それを出来るのは、彼女が手にしているからだ。
不安や焦燥等無い、絶対的な献身を。
それはきっと一番大切なヒトからの。

羨ましかった。
嫉ましかった。

『外見って、そんなに大切なんですか?』
『ヒトは、心で好きになるんだって。見た目は関係ないって』

真っ白な子。
艱難辛苦等、何処か遠いところの御伽話。
分からない。
この子はどうするだろう。
自分と同じ立場に立っても同じ綺麗事を云えるのか。
分からなくなった。
自分はヒトの幸福が嫉ましい為に行動しているのか、自分の目的を達成する為なのか。


月が満ちる。
明るすぎる光。
私に暗闇をもたらしてくれる光。


―――儀式の時は、もうすぐ。


END




☆☆☆コメ☆☆☆

何となく、欝だな!

何かさ、急に擁護したくなった。
クレアは大好きです。
演説泣いた位好きなんですけど。

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